
粉瘤(ふんりゅう)とは、皮膚の下にできる良性の腫瘍の一種です。
皮膚の内部に袋状の構造ができ、その中に角質や皮脂がたまることで徐々に膨らんでいきます。
粉瘤は主に顔、首、背中などの皮膚に生じることが多く、見た目はしこりや腫れのように見えます。
基本的に痛みはありませんが、細菌感染を起こすと赤く腫れて痛みが生じることや、膿がたまり大きくなることがあります。
ニキビがよくできる方に多い傾向があるとされていますが、
老若男女問わず発症するため明確な原因は不明な場合が多いです。
ニキビとは違い自然に治ることはありませんので、小さいうちに袋ごと取り除くことをお勧めします。
小さいうちに取り除くことで再発の防止や傷痕が目立ちにくいという利点があります。
当院では粉瘤の日帰り手術を行っています。
粉瘤が発生する主な原因として、皮膚のターンオーバー異常が挙げられます。
通常、皮膚は新陳代謝を繰り返しながら古い角質を排出しますが、
このプロセスがうまくいかない場合、古い角質が皮膚内部に閉じ込められ、粉瘤の袋(嚢腫)が形成されることがあります。
特に、皮脂腺の分泌が活発な部位では、毛穴が詰まりやすくなり、粉瘤ができやすい傾向があります。
また、皮膚の外傷や摩擦も粉瘤の発生に関与しています。
例えば、ニキビ跡や傷が適切に治癒せず、皮膚の内部に異常な袋が形成されることがあります。
さらに、皮膚が衣類などと継続的に摩擦を受けることで、毛穴の出口が塞がり、角質や皮脂が内部に溜まりやすくなるのです。
このように、粉瘤の原因は皮膚のターンオーバーの異常や外部刺激等の要素が複雑に絡み合っており、
一つの要因だけでなく複数の要素が組み合わさることで発生することが多いです。
粉瘤は放置すると徐々に大きくなり、炎症を起こす可能性があります。
内服薬で治療ができませんので、確実に取り除くためには皮膚科・形成外科での治療が必要です。
当院では、粉瘤の状態に応じて適切な治療法を提案します。
粉瘤の治療には主に「切開法」と「くりぬき法」の2つの手術方法があります。
それぞれの方法には特徴や利点、欠点があります。
切開法は、炎症が強い粉瘤や膿がたまっている粉瘤に対して行われる治療法です。
切開法は従来から行われている手術方法で、メスを使って皮膚を切開し
粉瘤の袋を破らないようにしっかりと取り除く方法です。
切開法では粉瘤の袋を完全に取り除くことができるため、再発のリスクが低いです。
その代わりに切開による傷跡は比較的大きくなることがありますが、
適切に処置すれば目立たなくすることが可能です。
くりぬき法は比較的新しい手術方法で、
粉瘤の開口部を中心に特殊なメスを使って小さな切開を行い、粉瘤の袋を取り除く方法です。
くりぬき法では、通常5mm程度の小さな切開で済むため、傷が目立ちにくいことが特長です。
切開法に比べて施術時間が短く縫合が必要ないケースが多いという利点がありますが、
粉瘤の袋を完全に取り除けない場合があり、再発のリスクが高くなることがあります。
また、炎症を起こしている粉瘤や大きな粉瘤には適応しないことがあります。
切開法とくりぬき法の選択は、粉瘤の大きさや位置、患者様の健康状態に基づいて行われます。
当院ではそれぞれの治療法で特徴が異なるため話し合いをして治療方針を決めております。
炎症性粉瘤や大きな粉瘤に対してはくりぬき法の適応が難しい場合がありますので切開法を推奨する場合があります。
皮膚科医が粉瘤の状態を診断し、適切な治療法を提案します。
切開法またはくりぬき法のどちらを適用するかを決定します。
治療中の痛みを最小限に抑えるため、局所麻酔を行います。
適切な方法で粉瘤を除去します。
傷口のケアや再発予防について指導を行います。
手術当日は、創部にガーゼを貼って帰宅していただきます。
1~3日はガーゼが血で滲むため、毎日交換します。
血液や体液で汚れなくなったらテープに変更して過ごしていただきます。
ガーゼ交換時にシャワーで傷を流しても問題ありません。
シャワーは翌日から可能です。お風呂に浸かることは感染の可能性があるため抜糸までは控えてください。
運動は、創部の場所や運動の内容によって制限が変わります。手術後に説明いたします。
アルコールの摂取によって血行が良くなり血腫(血のたまり)のリスクが高まります。
手術当日と翌日は飲酒を控えるようにしてください。
※発赤や腫れ、強い痛みがある場合は、感染の可能性があるため、すぐに当院まで連絡・受診をしてください
※
自然に治ることはなく、放置すると大きくなることがあります。
内服薬で治療もできないため、早めに治療することをおすすめします。
大きくなったり、炎症を起こして膿がたまると痛みを伴うこともあります。
感染がひどくなると切開治療が必要になるため、早めに受診しましょう。
軽度の場合は当日から日常生活が可能ですが、激しい運動や入浴は数日間控えることをおすすめします。
粉瘤が再発することはよくあります。
炎症を何度も繰り返している粉瘤の場合には
摘出時に袋まで完全に取りきれないケースが多いです。
再発を避けるには、小さいうちに切開法で袋ごと完全に取り除くことがお勧めです。
当院では粉瘤の診断から治療まで専門的なケアを提供しています。
粉瘤にお悩みの方は、神戸市灘区の皮膚科・形成外科六甲道あさみお肌のクリニックまでお気軽にご相談ください。